小樽築港機関区

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2023年5月31日水曜日

2015年のアメリカ鉄旅(第8回)2015.9.10  by奥

 2015/9/10ボルティモア&オハイオ鉄道博物館からニューアークへ帰る編です。

※今回、画像の縁が一部不揃いになっていますが、原因不明で修正できませんでしたご了承下さい。

博物館にいる間に強い雨が降り出しました。いわゆるゲリラ豪雨で、突然強い雨が降り出し、暫くすると上がるというのを繰り返しています。


アメリカの鉄道の象徴的な存在と言えるEMDのFユニットDL

RDC1と流線型展望車

一通り保存車輌は見学した(一部、奥に押し込まれて近寄れない車輌があったのは残念であった)ので、博物館を辞しボルティモア・ペン駅(Penn Sta.)へ向かう事にします。

タダのバス(FREE BUS)に乗った。
雨が心配なので、歩く距離は短くしたい。博物館スタッフに「ペン駅へ行くのに近いバス停はないか?」と尋ねると、スタッフ一同ああだこうだと議論をはじめました。基本的に公共交通機関で来る客は想定外なのでしょうか? 結論として「近くにタダのバスが通っているからそれに乗りなさい。」と言われ、親切にもスタッフの一人がバス停まで付き添ってくれました。それにしても「タダのバス」とは何でしょうか?

博物館駐車場(入り口ブースは踏切小屋)

バス停に行く途中の街並み

近くの交差点に行くと人だかりがしています。何事かと思ったら、角を曲がって件の「タダのバス」がやって来ました。人だかりはバスを待つ人々でした。バスは混雑しています。幾つか角を曲がるとLRTと交差する場所へ来たのでそこで下車します。東京でも丸の内や日本橋に「タダのバス」が走っていますが、どうもボルティモアのバスは低所得者対策として運行しているように思われました。バスを降りた所は今朝来たカムデンから一駅ペンステーション寄りの電停前でした。

電停前(3台前のバスが無料バス)

電停の背後に旧カムデン駅舎




軌道は道路片側に寄せられている

LRTもタダで乗れた。
電停の表示に次はペン駅行きと表示が出ました。注意書きには電車乗車前に切符もしくはパスを求めよと表示されています。切符を買おうと券売機を探したが見当たりません。上の画像にいかにも券売機が在りそうに見えますが中身がありません。と言ってる間に電車が到着、車内で買うのかと乗車すると、運転士は完全にガラスで仕切られた運転席におり、ドア扱いと運転に専念するようです。車内にも券売機はありません。ペン駅に着いてからで徴収されるのかと思い乗っていると、窓の外の町の様子が一変し、荒れ放題の建物が並んでいます。



ボルティモアの荒れた街並

LRTはペン駅に到着。駅でも運賃を徴収される事は無くコンコースへ出てしまいました。黒人暴動の後遺症で券売機は撤去され、無料で運行していたのでしょうか? なお、ボルティモアにはペン駅の近く(裏側)にストリートカー博物館も在るのですが、開館は週末のみとの事でこの日は見学は出来ません。

 アセラでフィラデルフィアへ。
ボルティモアからフィラデルフィアまで、アムトラックで戻ります。ペン駅の案内をみると間もなくアセラ(アセラ2166号、ボルティモア1325発、フィラデルフィア1431着)が来るので、窓口で指定券(列車指定、区間指定の意で、座席は指定されない)を購入。ホームへ降りるとまた大雨です。

大雨のボルティモアペン駅(停車してるのはMARCの列車) 

昼下がりの新幹線は空いているのが相場と思ってましたが、到着のアセラは結構な乗車率でした。フィラデルフィアまでは約1時間ほどなので、カフェカーで昼食を摂りながら行こうと考えていたのですが、同じ考えの人がいるようで、カフェカーのテーブルは既に満席です。仕方ないのでカウンターでサンドイッチと飲み物を求め、座席へ向かいます。座席も2名並んで座れる所は無く、通路側の席へ離れて座ります。フィラデルフィア到着前には「フィラデルフィアからは満席なので空いてる席に荷物を置いてる人はどかすように。」との趣旨の車内放送がありました。

フィイラデルフィア30丁目を発車したアセラ2166号の後部

フィラデルフィアからニューアークへNJトランジットの路線を乗り継いで帰る。
フィラデルフィアからニューヨークまではアムトラックの北東回廊線をペンシルバニア州、ニュージャージー州の通勤列車(ペンシルバニア州がSEPTA、ニュージャージー州がNJトランジット)の乗り継ぎ(トレントンで接続)で帰れるのですが、この区間は既にアムトラックで乗車済みなので、別のルートで帰る事にします。フィラデルフィアはペンシルバニア州の都市ですが東側を流れるデラウェア川の対岸はニュージャージー州で、フィラデルフィアとアトランティックシティーを結ぶ通勤列車線はNJトランジットによる運行(アトランティックシティーライン)です。その線の途中駅からトレントンまデラウェア川沿いにやはりNJトランジット運営する路線(リバーライン)があります。ニューアークへはそのルートで戻る事にします。

フィラデルフィア30丁目駅コンコース

ところで、フィラデルフィアの中央駅の名称は30丁目駅(Philadelpia 30th St. Sta.)で、(ペン駅でもユニオンステーションでもセントラルステーションでもない)電車駅のような名称ですがこれまた立派な駅です。またまた、NJトランジットの乗車券をどこで売っているのか判りません。案内所で聞くと「あそこの柱の所に券売機がある。」と指をさして教えられ、次の列車の時間とホームの番線も教えてくれました。乗車券を無事購入、時間があるので駅の外に出てみます。案内表示にトラムの乗り場と出ているのでそちらへ出ましたが線路は見当たりません、乗り場は地下なのでした。地下まで行く時間は無さそうなので駅舎の写真を撮ってコンコースへ戻ります。

フィラデルフィア30丁目駅舎

掘割を通る本線の他に直交する高架ホームもあります

1519発NJトランシットのアトンティックシティー線に乗車、リバーラインの乗換駅は最初のペンソーケントランジットセンター(Pennsauken T.C.)駅で所要時間20分程(ニュージャージー州の路線なのでペンシルバニア州内は駅が無く、最初の駅まで時間がかかる)で到着。フィラデルフィアもボルティモアに負けず劣らず荒れた建物が見受けられました

デラウエア川の川岸にあった発電所?の廃墟物件

ペンソーケンを発車したアトランティックシティー線列車の後部

リバーラインとの乗換駅はペンソーケントランジットセンターという大層な名称の駅ですが、交差地点にホームを作って、通路で結んだ簡素な駅です。

リバーラインのホーム上屋(ホーム上には券売機あり)

駅舎とアトランティックシティー線のホーム

アトランティックシティー線は電化設備が撤去されて今は架線柱が残るのみです。かってはペンシルバニア鉄道の近郊型電車のパンタをポールに変えた電車が走ってました。(クマタ製の模型があった記憶があります)リバーラインはトレントンとデラウエア川の河口の港町カムデン(フィラデルフィアの対岸、ボルティモアにもカムデンがあったが、アメリカはやたら同じ地名がある)を結ぶ路線です。

先に来た下りカムデン行き(部分低床の連節式のDC)

立体交差を潜る


フィラデルフィア行きの列車(パンタ付のDL)が到着

トレントン行きが到着

この路線も既存の鉄道をLRT化した路線のようです。途中には街中の路上を走る区間あり、また貨物ヤードあり、貨物列車との行違いありと変化に富んだ線でした。(ペンソーケン1619発、トレントン駅前1705着)



路上走行区間

ヤードオフィス
 
貨物列車と交換

ウォルサーズのキットの様な貨物駅



トレントン駅前に到着

トレントン駅

トレントン駅(Trenton)のホームへ降りるとNJトランジット、SEPTA双方の列車が停車しています。

トレントンに停車中のNJトランジットの2階建て客車

トレントンに留置中のSEPTAの電車

 
我々が乗車したNJトランジットの列車(こちらは平屋客車)

トレントン1731発の快速列車に乗車、ニューアークに1822到着。 フィラデルフィア~ニューアーク間の所要時間は待ち時間込みで約3時間でした。この間を北東回廊線だとアセラは約1時間、SEPTAとNJトランジット乗り継ぎで約2時間です。 第8回終わり。

2023年5月18日木曜日

2015年のアメリカ鉄旅(第7回)2015.9.10  by奥

 9/10(木)本日の予定はボルティモア(Baltimore)にあるボルティモア&オハイオ鉄道博物館への日帰りツアーです。乗り鉄旅なので、行き帰りは単純にAcelaで往復するわけではありません。


ワシントンDCへアムトラックの座席夜行列車に乗車。
朝午前3時起床。ニュアークペン駅へ向かい、0320ニューアーク発のAmtrakの「ノースイーストコリドー」67列車に乗車します。この列車は前日夜9時30分にボストンを出て、ニューヨークに朝3時に着き、ワシントンDC(6時58分着)経由でニュポートニュース(Newport Newsバージニア州)まで行く座席夜行列車で、終点のニューポートニュースからノーフォーク(Norfolk)までバスが連絡していてノーフォーク着は12時50分という列車です。日本でいったら夜仙台を出て、東京を未明に通り、お昼過ぎに大阪に着くような感じでしょうか。(ノーフォ-クが軍港であることに鑑みると呉行きか?)列車はニューアーク定時発車で、乗車率は30%程度でした。このような座席夜行列車の運行が税金投入で維持されているのは鉄道ファン的には何とも羨ましい話です。列車は定員制で、昨日乗車券購入時に個人IDの提示を求められました。(我々は外国人なのでパスポートを提示する)運賃は同じ区間の昼間の列車より、割安に設定されているようです。
 
夜明け前のウィルミントン(Wilmington)駅停車中。ホーム上にはアムトラックの鉄道娘

早朝にワシントンDCへ行く用務客も結構いるようで途中からの乗車も結構あり、ワシントンDCユニオン駅到着時には7~80%くらいの乗車率になっていました。ユニオンステーションのカフェテリアでエリートビジネスマンに混じって朝食。

ワシントンDCからボルティモアへ戻る。
ワシントンDCとボルティモアの周辺にはメリーランド州の運営する近郊列車(MARCという組織、Maryland Area Rail Commuterの略だそうです)が運行されています。ワシントン~ボルティモア間はアムトラックと同じ路線を使うPenn Lineが基本ですが、もう1本カムデン線(Camden Line)という路線があり、この線のボルティモア側のターミナル(カムデン駅)がB&O鉄道博物館の近くなので、この線に乗ってルティモアへ戻ります。ただしこのカムデン線は朝夕しか運転されないので、朝の列車にのるにはワシントンまで夜行列車に乗る必要があった訳です。
例によってMARCの乗車券の買い方が判らずコンコースでまごつきましたが無事購入(インフォメーションで聞いたらアムトラック有人窓口での委託発売であった)、ホームへ下ります。

ユニオンステーションホームのカムデン線列車

隣の線にはアセラが停車中、反対の高いホームから乗降する

ユニオンステーション発車(ワシントンの地下鉄が見えます)

車両基地にはバージニア州側の通勤列車の車輌(シカゴと同タイプ)

MARCカムデン線846レは定時運行(ワシントン0800発ボルティモアカムデンヤード0908着)でボルティモアに到着。なお、アメリカの鉄道は遅れるのが当たり前的によく書かれてますが、今回の旅行で列車の大幅な遅延はシカゴ~ニューアーク間の長距離列車だけ(これらは日本の鉄道とは運行形態が全く異なり、日本の常識で遅れを批判するべきではない)で、大部分は定時運行されていました。ホームは2面3線、列車の本数(10往復)に比べて結構な規模です。隣の線に留置の荷物車は救援車か?

カムデンヤード駅の頭端式ホーム(左にLRTの線路)

カムデン駅到着のMARC列車
(平屋建1輌、2階建て客車3輌、両端にDLが付いていて片方はエンジン無しかもしれません)

留置の荷物車

MARCのカムデンヤード駅にならんでLRTの駅があります。こちらもホームが3線です。折り返しの電車があるようです。


ボルティモアのLRT

カムデン駅から博物館へ
駅から博物館へ歩きます。駅前に聳えるレンガの建物はカムデン駅の旧駅舎(現在は博物館)隣には倉庫を再開発した商業施設があり、そのまた隣には再開発でフットボール場と野球場があります。

カムデン駅の旧駅舎(旧ホーム側)

出入り口側

再開発され、商業施設になった旧倉庫(右は球場)

再開発された区域をすぎると、倉庫街の雰囲気です。再開発前は全体がこうだったのでしょう。ボルティモアといえば訪問する数か月前に大規模な黒人暴動が起きており、またも治安が心配なのですが、沿道には割れ窓や落書きが無いのでひとまず安心です。怪しいと言えば場末の町を歩く東洋人2人組の方がずっと怪しいかもしれません。倉庫街を抜けると住宅地の風情になり、こんな所に博物館があるのかという雰囲気でしたが、徒歩15分程で無事博物館に到着しました。

博物館へ向かう途中の倉庫街

ボルティモア&オハイオ鉄道博物館

B&O鉄道博物館

博物館へ到着、開館は10時でまだ30分以上あります。しかし、既にオープンしている駐車場に館内に収容しきれないのであろう車輌が半ば放置状態で置いてあり、自由に眺められたので時間の無駄にはなりません。やがて開館時間となり、開館と同時に入ったのは我々だけでした。その後それなりに入館者はありましたが、大宮に比べればはるかに空いています。

博物館(本館?)のラウンドハウス



駐車場に置かれた車輌群 

本館の中には古めの車輌を主体に展示されています。 



本館の内部、車輌は接して置かれてるので個々の車輌はなかなか綺麗に撮れない

もう1棟煉瓦造の旧工場建屋利用の建物があり、





C&O鉄道のアラゲーニーもいました

中にはお宝車輌が詰め込まれています。狭くて全体が眺められないので、さながら盲人象に触れるが如しと言ったところです。
客車の内部にHOのレイアウトがありました。


カムデン駅がありました


 
屋外には1番ゲージのレイアウトもあります。



この場所に博物館があるのはアメリカ最初の鉄道の起点がこの地である事に由来しており、その最初の鉄道路線を体験乗車する列車が運転されているので乗車します。こちらの線路沿いにも保管車輌が置いてあり、中に悲惨な状態のGG1がいました。

待機中の体験列車(DLに客車2輌)
 
ペンシルバニア鉄道GG-1
 
博物館見学はこれで終了とし、ボルティモアペン駅へ向かう事にします。(帰り編へ続く)